ライフデザイン

ライフデザイン支援に取り組む方へ

ライフデザイン支援取組事例の紹介[1]
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「講座のコンセプト」

では、一体なぜこのような取り組みを高校生に行うのか?について、共有したいと思います。皆さんは、「自分が何をしても物事は変わらない」、そのように思った経験ってありますか。例えば、上司にいくら提案をしたって受け入れてくれないとか、会社のミーティングでどんなに発言したって全然聞き入ってくれない、などですね。自分がせっかくアクションしたにも関わらず、周りからの反応が無かったときに、なんとなく無力感や焦燥感みたいなことを感じる経験ってたくさんありますよね。
群馬県内の高校生にアンケートをとったり、一般的なデータを確認したところ、今の高校生たちは3人に2人が、自分が何をしても物事は変わらない、そのように考えています。一方で、今の高校生は、理想の自分について、10人に7人くらいが「未体験なことに挑戦していける自分」だと答えています。意欲とか主体性は、胸に秘めているわけですね。しかし、その意欲や主体性を、実際のアクションに結び付けられている子はどれくらいいるのだろうかというと、10人にたった1人です。自分は「こうなりたい!」と思っているにも関わらず、アクションできずに、「自分からやってみた」という経験を手に出来ていない子たちが9人もいるのです。
このデータが表しているところに、私たちの一番の問題意識があります。意欲、主体性を持っている高校生たちが、実際に自分でアクションするんだ、アクションしたんだという経験を持って、ちゃんと社会に巣立って欲しい。答えのない社会に出てからも、自分自身の行動を積み重ねることで得られる学びをもとに、様々なことに向き合っていけるようになってほしい。

理由はなんだか分からないけれど、モヤモヤしていて、でもやってみたいなって思っている子たちが9人いるので、この子たちにどうやってアプローチしたらいいのだろうか・・・。そう考えたときに出した結論が、学校と連携して授業を活用する、ということでした。

一般論として、日本の高校生は世界に比べて将来に不安をもっていたり、自己肯定感が低いと言われています。データとしては77.7%の高校生たちが将来に不安を抱えていると答えているそうです。全国に高校生は330万人いるわけですけれども、そのうち250万人ぐらいが将来に不安を抱えているわけです。群馬の高校生に当てはめると、5.3万人くらいの高校生がいますが、そのうち4.1万人くらいが将来に不安を抱えているわけです。将来に不安を抱えるのは当たり前なんですよ。皆さんも高校時代には将来に対する不安を抱えていたと思いますし、あるいは現在も抱えているかもしれません。私自身もあります。不安を抱えているのは当たり前なんですね。

また、若者の「働く」を巡る社会が思っているよりも複雑です。キャリア教育の第一人者である法政大学の児美川先生が、もし高校生が100人の村だったらということを仮説設定したときの指標があります。高校入学した子たちが100人いるとしたら、中退などで6人辞めて、94人しか高校卒業できないそうです。この94人のうち、進路未決定者は4人だそうです。そして進路が決定している子たちは、大学進学や専門学校入学、就職と分かれていきます。(スライドを見せながら)ここでは細かい数字は省略しますが、ポイントは100人いたら3年以上継続して就業できる子たちというのは41人しかいないということです。つまり、マイノリティなわけです。これは、その子たちの意欲とか主体性だけの問題ではなくて、社会的な構造として、3年以上継続して就業するのはもう当たり前じゃないという社会になっているんだということです。

こうした社会の中で、高校生までにどのように生きる力の土台を育んでいくのか、これが重要ではないでしょうか。将来の不安とは、勉強が追いつかないな、仕事はやっていけるのかな、家族ができるのかな、楽しみを持てるのかな、パートナーに出会えるのかな、子どもを持てるのかな、というように多種多様です。こうした不安を自分の課題としてちゃんと認識したときに、自分で乗り越えられるような「学び」を作っていきたい。こうした思いで取り組んできたのが、「高校生のライフデザイン講座」です。私たちが高校生の課題を解決するのではなくて、高校生たちが自分の課題を自分で解決できるような、そういった「学び」を作るということが、「高校生のライフデザイン講座」のコンセプトです。

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