
ライフデザイン支援取組事例の紹介[2]
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「無縁社会がもたらす課題を解消したい」
全てに共通して言えることですが、今の世の中では、お隣に誰が住んでいるのか分からないとか、育児で困ったときに相談できる相手がいない、頼れる人がいないなど、【無縁社会がもたらす課題】が多くなっていると考えています。もっと地域がつながっていれば、学生さんだって悩んだときに誰か頼れる大人が近くにいたり、お母さんも育児期間中に困ったことがあれば隣の人に頼ったりしていたということが可能で、昔はそういったご縁がありましたよね。そういった家族が多いとか親戚が多い、近所の方たちみんなが知り合いだとか、そういう中では生まれない問題が、今たくさん起こっていると思います。誰かに連れられて行ってしまっても、その子がどこの子なのかも分からない。不審者なのか親御さんなのかも分からない。それがトラブルなのかどうか、分からない。そういった世の中って、やはりものすごく問題だと思うのです。
私は、自分の子どもに「いじめはいけないんだよ」っていうことは教えてきました。ただ、今のご時世、自分の子どもが学校に行ったときにいじめられる立場に急になるかもしれない。でも、もしそうなってしまって、私は何ができるのかを考えたときに、自分の子どもにだけ「それはいじめっ子が悪いのだからあなたは悪くない」と言ったところで、問題は何も解決しないのですね。ですので、この「赤ちゃん先生プロジェクト」を知ったとき、命の大切さを子どもたちみんなに教えることができるというその部分に、ものすごく希望の光を見出しました。これだったら、教員の免許を持っていない私にも、このプロジェクトで「命の大切さ」を伝えられる立場になることができる。しかも、大人だけが教えるよりも、子ども自身が赤ちゃんのふれあいを通じて、実際にそれを感じ取ってくれるのです。
先ほどもお話がありましたが、一人親家庭とか、施設から通っているお子さんがいるということは、学校との事前打ち合わせの時に確認します。でも、私たちが教えたいのは、お母さんがいてあなたが育ったということよりも、「あなたが育ったのは、周りの人たちの協力またはお世話があったからなのだよ」ということです。お母さんがいなければどうこうということではなくて、「あなたには育ててくれた人がいる、そのことに感謝をしてほしい」ということを中心にお話させていただいています。一人親家庭のお子さんに対しては、それではかわいそうじゃないかという意見もたまに出ますが、そうではなくて、あなた一人ではここまで生きてこられなかったんだよということを、赤ちゃんとのふれあいから感じていただきたいと思って、このような取り組みをしています。