ライフデザイン

ライフデザイン支援に取り組む方へ

ライフデザイン支援取組事例の紹介[3]
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「命(あなた)の誕生のしくみ」

高校生向けに授業をするときの話ですが、佐藤病院の理事長が25年くらい前に北欧を視察旅行したときに、幼稚園とか保育園とかで見ていた絵本を使って、授業をしています。普通に幼稚園生が見ている絵本の題材です。これ(ハートマークがあって、ニコニコしながら裸のお父さんとお母さんがベッドの上にいるイラスト)を高校生に最初に出しますと、ざわざわざわざわとなります。これは何語かわからないので何が書いてあるかわかりませんけれども、想像はできます。こうした幼児向けの絵本でも、イラストはかなりありのまま描かれています。このように何が書いてあるのかはわかりませんが、ここから絵本は妊娠の仕組みへ移っていきます。妊娠の仕組みについては、何語かわからないところでは説明できませんので、私の方でわかりやすい日本語の資料を使って、受精ってねというところを話すようにしています。
そもそもじゃあ受精ってどうやって起こるかという話ですが…皆さん分かりますよね。子宮があって、卵巣があって、卵管采という卵巣から毎月出てくる卵をすくうところがあるんですれど、ここで卵をすくってくれます。すくってくれた卵が、卵管を流れて子宮の内膜へ行くんですけれど、卵が出ているときに性交渉を持ちますと、精子が入ってきて、頑張って泳いできて受精するんです。そして細胞分裂を重ねながら子宮の内膜にくっつくんですね。これが妊娠の仕組みです。

精子を顕微鏡で見た写真がありますが、健康な精子だとおたまじゃくしみたいになっていますが、中には不良がありまして、頭がふたつあったり、尻尾が何本かあったり、ちょん切れていたり、そういう精子では受精できないですね。

そして、どれだけ自分の命が貴重なのかというお話になりますが、皆さん、ちょっとイメージしてください。皆さんのおばあちゃんが、お母さんを妊娠しています。おばあちゃんがお母さんを妊娠している時、お母さんの体にはもう既に約700万個の卵子の卵があります。そして、あなたのお母さんが産まれました、産まれたときに、お母さんの体の中には約100万個の卵子、もうここですでに600万個も使えなくなっているんです。100万個の卵子を持ってお母さんが産まれました。お母さんが思春期になって、生理が始まります。そうすると、もう赤ちゃん産めますよというサインになります。どんどん年を重ねるごとに卵子が少なくなりますが、思春期になりますと約40万個に減ります。この40万個が、毎月生理という形で、妊娠の準備のために出てきます。生理を迎えてから妊娠するまで、一生のうちに排卵される卵が400〜500と言われています。400人くらい産めるかな、っていう話をするのですけれど、400人は産めません(笑)。この卵の中の一個があなたなんですよ、ということを話します。
続いてお父さん。あなたのお父さんが思春期になりました。そうすると、一日に数千から一億個の精子を製造します。大人になったお父さんが1回射精すると、スプーン約1杯、大体そこに精子が3〜4億個入っていまして、お母さんの卵と出会うんですよという話をします。精子は非常に健気な命の旅を繰り返しまして、途中で力尽きてしまったりもしますが、お父さんの精子はお母さんの卵子に一等賞で到着したということです。お母さんの卵子に近づくことができた精子は、わずか100〜500。1億あるかもしないという精子の中の100〜500。その代表選手がお母さんとゴールをしました。その確率は、高校生だからよくわかるかもしれないですけれども、3億個の精子分の1個、それから、おばあちゃんのお腹にいたときからの卵子と考えると、700万個のうちの1個、そのかけ合わせが確率です。すごく貴重な命ですよね。隣の卵子だったら違ったよね、二等賞の精子が入っていたらあなたじゃなかったよね、というお話です。

これは、実際の卵子に精子が受精する直前、入る瞬間の様子です。精子は、先端から卵子の膜を溶かす液を出しまして、一等賞がピュッと出すことによって膜がオープンするわけなんですね。そんな不思議な話もちょっと入れたりします。これは受精した瞬間の様子で、ここから細胞分裂を始めていきます。「母と子の命の授業」として、小学校低学年とか幼稚園の子にお話をするときの資料ですが、妊娠2ヶ月の時の赤ちゃんってどんな感じなのかというと、ブトウひとつくらいの大きさだよとか、これが実際のお腹の中にいる赤ちゃんだよとか、じゃあ4ヶ月くらいってどれくらいっていうとキウイ一つくらいだよ、こんな感じだよと実際の写真を交えながら見せていきます。そして、妊娠10ヶ月の臨月と呼ばれる週数になると、スイカ一個くらいの重さなんだよ、超音波の写真で見ると赤ちゃんの顔が見えるんだよというようなお話をします。「母と子の命の授業」では、実際に超音波でお腹の赤ちゃんを見させてもらうという時間もあります。資料が古いですが、佐藤病院で実際に生まれたときの写真、分娩室の写真も見てもらっています。お父さんもお母さんも頑張った!みたいな感じでちょっとウルウルしている写真ですね。こうした写真を見せながら、高校生向けの授業の前半部分は終了です。

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